コラム COLUMN
2025年9月5日

共有持分の放棄について

皆様、こんにちは。相続勉強会講師の村上です。

今年も早いものであっという間に9月になりました、

9月とはいえ、まだまだ暑い日が続いておりますので熱中症には気を付けてお過ごしください。

 

 

さて、本日は前回のコラムの続きで、その後ご兄弟がどのように進められたかです。どのようにしたかというと、「共有持分の放棄」をおこないました。について書いてみます。

 

「共有持分の放棄」とは?こちらは「相続放棄」とは全く異なるもので、特に不動産を法定相続で相続せざるを得ず、共有持分となってしまったようなケースで、自分の持分を放棄することができるというものです。但し、なんでもかんでも利用できるというものではありませんので、その点は十分にご理解下さい。

 

 

 

共有持分放棄とは?

共有持分の放棄とは、共有不動産の持分を持つ人が、その持分を一方的に手放すことを指します。

民法第255条には、「共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する」と定められています。つまり、放棄された持分は、自動的に他の共有者に帰属することになります。

たとえば、兄弟3人で実家を共有しており、そのうちの一人が自分の持分を放棄した場合、その持分は残りの2人の兄弟に、それぞれの持分に応じて均等に帰属することになります。

 

 

なぜ共有持分の放棄を検討するのか?

 

共有持分の放棄が検討される主な理由はいくつか考えられます。

 

 

【管理の手間や費用の負担を避けたい】不動産の共有は、固定資産税の支払い

修繕費の負担、賃貸管理など、様々な手間や費用が発生します。

これらの負担から解放されたいと考える人が放棄を選択することがあります。

 

【他の共有者との関係性】共有者間で意見の対立がある場合や、関係性が悪化している場合など共有状態を解消したいと考えることがあります。

 

【特定の共有者に集約したい】 特定の共有者に不動産をまとめたいという意向がある場合他の共有者が放棄することでそれが実現できます。

 

 

共有持分放棄の手続き

共有持分の放棄は、意思表示のみで完結するものではありません。以下の手続きが必要となります。

 

【放棄の意思表示】

他の共有者に対して、共有持分を放棄する意思を明確に伝えます。内容証明郵便などで記録を残しておくとより確実です。

【所有権移転登記】

放棄によって持分を取得した共有者は法務局で所有権移転登記を行う必要があります。

この登記をすることで、初めて法的に持分の移転が完了したことになります。登記を怠ると、第三者に対して持分の移転を主張することができません。

 

共有持分放棄の注意点⚠️

共有持分の放棄は、一見するとシンプルな解決策に見えますが、いくつかの重要な注意点があります。

 

【贈与税の問題
放棄された持分を受け取った他の共有者には、その持分の経済的価値に対して
贈与税が課される可能性があります。たとえ無償で受け取ったとしても、税法上は贈与とみなされるため、事前に税理士に相談することをおすすめします。

 

【抵当権などの問題
もし放棄する持分に抵当権などの担保権が設定されている場合、その担保権は放棄後も維持されます。放棄しても債務が消滅するわけではありませんので注意が必要です。

【登記費用の負担
所有権移転登記には登録免許税などの費用が発生します。通常、持分を受け取る側が負担することが多いですが、事前に取り決めをしておくのが賢明です。

 

【他の共有者の合意は不要
共有持分の放棄は、放棄する側の単独行為であり、他の共有者の合意は不要です。
しかし、上記の贈与税の問題や登記手続きの協力を考えると、事前に他の共有者と話し合い、理解を得ておくことが円滑な手続きにつながります。

 

【一度放棄すると撤回は困難
原則として、一度放棄した共有持分を撤回することはできません。安易な判断は避け、慎重に検討する必要があります。

 

今回の事例の場合、長男と三男の自己都合的な放棄ではなく、

これまで再三、次男に対してお願いをしてきたにもかかわらず、次男が応じなかったという経緯があり、

弁護士を通じてその手続きをして認められました。

 

 

特に相続においては、「やむを得ず共有になった」という事例や、

「分けたいけど相手が応じてくれない」といったケースもあり

現在も困っておられる方も多いのではないかと思います。

 

 

場合によっては、今回の事例のような対応が可能になると思いますので、該当する方は参考にされてみてください。

今回のコラムは以上となります。お読みくださり、ありがとうございました。

相続について、お困りごとがありましたらお気軽にご相談くださいませ。

 

 

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